※この小説はフィクションで、実在の人物・団体類などとは一切関係ございません。ご感想は、 Eメールでどうぞ。

クリスとフィラのクリスマス


「あら…。雪が降ってきたわ。そろそろクリスマスね…。」
暖かな暖炉の側、編み物の手を休めて、フローラがつぶやいた。
「あなた。そろそろあの子達にもプレゼント考えてあげないと…。」
「う〜ん。そうだなー…。等身大のクマのぬいぐるみなんてどうだろう?」
フローラは首を振った。
「…だめよ。去年のこと忘れたの?あのクマ…。」
 
 
 それは去年のクリスマスー。
「わ〜い!おとうさん、おかあさん、ありがとう!」
「二人できっと大事にするわ!」
クリスとフィラの喜ぶ声が聞こえてきた。
「ふふふ。あなた、よかったわね。喜んでもらえて。」
だが一時間後ー。
「そうだ!このクマすごく頑丈らしいから、
伝説の剣の腕前でもみてみよう!」
「あたしは新しく覚えた魔法つかってみるわ!」
「よ〜し!いけ!」
ズバズバッ!クマの耳が取れ、綿がはみ出てきた。
「次はあたしね!べギラゴン!メラゾーマ!」
どっか〜ん!!クマのぬいぐるみはぼろぼろになってしまった…。
「なんだ。あんまたいしたことなかったじゃん。つまんないの〜。」
 
 
「ね?思い出した?」
あれを忘れるはずがない。せっかくこの日のために
特別に用意してもらったのに…。あの時は怒るに怒れなかったな。
「じゃ、本物のクマなんてどうだろう?」
「…あなた…。あなたの考えには時々ついていけないわ…。」
「ははは…冗談だって。じゃ、子供たちに聞いてくるよ。」
そうして僕は出ていった。
 
 
「クリス、フィラ、お前達今年はなにがほしい?」
僕は呪文の練習をしている子供たちの側にいって、聞いた。
「え〜と…僕はロボットの動く等身大クマがいいなぁ。」
「あたしは去年よりもっと大きいふあふあの毛がついたクマさん!」
…またクマか…。勘弁して欲しいけど…それが希望なんだし…。
「クマ以外は何か欲しいのある?」
僕は一応聞いてみた。意志を変えてくれるという
あわい期待があったからだ。だが…
「え〜いやだよ!僕達クマがいいの!」
「……わかった。考えとくよ。」
ふう…。僕も甘いな…情けないよ。
 
 
「…というわけだよ。フローラ。どうする?」
彼女は真っ青の髪を見ながらいった。
「そうね。じゃ、今年はそれでいきましょう!」
「へ…?」
「だから、クマよ。こどもたちが欲しい…。」
「で、でもまた壊されたら…。」
「そのときはガツンといってあげたら?ってゆーか
最初から大事にする・壊さないって条件でどうかしら?」
は…。そのことにきづかなかった。フローラ、ナイス!!
よし、またあとで子供たちに聞いてみようかな。
去年と違って今年が最高のクリスマスになるようにー…。


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